農作物盗難対策を強化
栃木県内でイチゴや桃などの農作物の盗難被害が急増しており、県警と県、JA栃木中央会などが生産者を対象とした防犯研修会を開くなど、盗難を防ぐ取り組みを強化している。
県警生活安全企画課によると、2022年の農作物の盗難被害は56件で、過去5年で最多だった。同課は転売目的の盗難が増えているとみており、担当者は「農作物は県の財産。せっかく作った農作物を安易に盗ませてはいけない。地域ぐるみで対策に取り組んでほしい」と力を込める。
「朝、ビニールハウスに行ったらなくなっていた。せっかく作ったイチゴが盗まれ、憤りを感じる」。壬生町のイチゴ農家の男性(70)は今年2月、「とちあいか」約20キロ(時価約4万円)を盗まれた。大きな粒のイチゴばかり摘まれたという。
防犯カメラをつけていた近所の農家がカメラの配線を切られ農作物の盗難に遭ったケースを知っていたため、カメラなどはつけていなかった。11月の収穫期に向け、新たに夜間用の防犯カメラなどを道路側に設置しようと考えているが、「敵も敵で知恵があり、下見をした上で入って来るなど、こちらの対策をかいくぐってくる。いたちごっこだろう」と頭を抱える。3カ所あるビニールハウスの全範囲をカバーするだけの防犯対策は厳しく「多くのお金を割けない」とも漏らす。
同課によると、被害の届け出のあった農作物の盗難被害は2018年は41件、19年43件、20年42件、21年37件だった。果物では特に単価が上がっているイチゴや桃の被害が多く、中でも22年の被害はイチゴが最も多い12件を占める。今年2月中旬には真岡市で「とちおとめ」が約50キロ(約10万円相当)も盗まれる事案もあった。21年ごろから転売目的とみられる大量盗難が増えているという。
県警は昨年、情報共有や、農家への情報発信のため、県農政部、JA栃木中央会と「とちぎの農作物等盗難防止に関する協定」を結んだ。6月には、さくらんぼの盗難を防ぐため先駆的な対策を取っているJA山形中央会を招いた研修会も開催。「のぼり旗の設置」「防犯カメラの無償貸し出し」などの対策を学んだ。
県警の担当者も、「ビニールハウスに鍵をかけた場合、ハウス自体を破損させられかねない」などと対策を取りにくい現状を説明したうえで、侵入者を検知するセンサーや防犯カメラの設置を呼びかけた。生産者による防犯夜回りは負担が大きいとして、地域での防犯パトロールの事例を紹介した。
一方で、容疑者の検挙について同課の担当者は「盗まれたものをDNA鑑定することは難しいため、現行犯逮捕でない限り、検挙するのは難しい」と打ち明ける。不審車両を見かけた生産者らから通報を受け、職務質問をするなどして現行犯逮捕につなげることが重要という。不審者などの情報提供を募る「とちぎの農作物泥棒 情報提供BOX」も昨年から県警のホームページ上に設けており、活用を呼びかける。
県警などは、JAから警戒すべき場所や収穫時期といった情報提供を受け、今年6月末までに3回、車でイチゴ農家を巡回する合同パトロールを実施。被害の発生状況をまとめたチラシを配布するなどしており、今後も県内各地でのパトロールを定期的に実施していく予定という。県農政部経営技術課の担当者は「被害に遭うことで、営農のモチベーション低下にもつながりかねない。地域ぐるみで警戒し、犯罪抑止力の向上を目指していきたい」と話す。
<YAHOOニュース2023年9月15日配信>より
物価高は、生活必需品全般にわたり、すべての日本人があおりを受けています。ブランド果実も例外ではなく、価格は高騰しています。生産者は、肥料も高騰しているので、原価が上がっているため、値上げせざるを得ない状況にあります。
原価が上がっているところに加え、収穫するべき作物が盗まれるということは、仕入れの回収をするどころか、全て赤字になってしまいます。
農作物は何故狙われるのでしょうか?
敷地が広いため、すべてに目が届きにくいため。
境界線に頑丈な壁や塀が設置しにくく、施錠も難しいため。
人通りが少なく、特に夜間には真っ暗になり、人目がないため。
盗品だと証明する方法がないため。
転売しやすくなったため。
という理由から、商店から盗むよりもハードルが低くなるので狙われてしまいます。
狙わせないためには、この理由の逆を対策として行えば良いのです。
敷地境界線にしっかりしたフェンスを設置し、入場するのには開錠しないといけない。
夜間も照明が煌々と付いており、絶えず人通りがあり、人の目にさらされている。
ブランド商品であることを証明できるような特殊な形や色を付ける。
現実的ではありませんね。また、費用もそれなりに掛かってしまいます。
防犯カメラを設置したとて、不審者を記録するのにとどまります。
たとえ映像に記録されていたとしても、盗まれた後では農作物は帰っては来ません。
手塩にかけて育て上げた我が子のような農作物が盗まれる、ということは身を切られるような思いだと想像できます。犯罪は、被害に遭った人を心身共に傷つけていくものです。
このような悲しいニュースが無くなるように願っています。