カメラが犯罪を見ていますが、仏さまも見ています。
長野県にある善光寺で、本堂にある「びんずる尊者」が盗まれました。幸いにも発見が早く、また盗まれたときの一部始終が防犯カメラに記録され、2時間半後に映っていた乗用車が発見され、容疑者が逮捕となりました。
仏像は善光寺に戻され、目立った傷はなかったということです。時機を見て、元にあった本堂に設置すると、お寺の関係者は話しています。
びんずる尊者は、お釈迦様の弟子である十六羅漢の筆頭であり、病を治す力を持っていたといわれています。そのため、江戸時代に作られたこの木像は、自分の悪い場所を触ると、病気を治してくれるという言い伝えがあり、顔は撫でられて、削られ、つるつるになっています。
今回の盗難の理由
逮捕された容疑者が警察の調査を受け、「あんなものがあると、地震や事件が起こる」「どこかに埋めようと思った」と供述しています。今後の捜査により明らかにされると思いますが、容疑者の思想によるものでしょうか。防犯カメラがあるにもかかわらず、参拝者の切れ目を狙い、人のいる時間に大胆に持ち運んだところを見ると、計画的に持ち出し、売りさばくという目的ではなかったかと思えます。
今後現れる模倣犯について
びんずる尊者像は全国に置かれてあり、また、屋外に置かれていることが多いです。詳細情報が広がり、同様な事件が増える可能性があります。重要文化財や国宝でなくても、仏像盗難は後を絶ちません。コレクターが一定数存在しており、高額で取引されているようです。しばらくはびんずる尊者像がターゲットとして狙われる可能性が高いので、注意が必要です。
対応策
本来は大切な仏様なので、屋内にしまっておき、夜間は施錠するなどの対策が有効です。しかし、びんずる尊者像の特徴である、なで仏様の意味合いが薄れてしまいます。取り外しができないような細工をするなどの必要性が出てきます。もちろん防犯カメラは必須です。今回の事件もカメラのおかげで取り戻せたということもあります。
仏さまはお寺にとって大切な財産ですが、それ以上に信仰の対象として、困ったり迷ったりしている人の道しるべとして後世に伝えていく文化財です。
お寺の防犯はこちらをご覧ください
個人のコレクターが趣味として収集するものではないというものであることを、われわれ日本人はもっともっと意識し、みんなで守っていきましょう!