北新地のクリニック放火事件から1年が経ちました
26人が犠牲となった大阪・北新地ビル放火事件は17日、発生から1年となりました。「私の時間はあの日で止まっています」。遺族の1人はそう手記につづりました。被害に遭ったクリニックの患者らには前を向けるようになった人もいれば、不安のまっただ中にいる人も。大切な人はもういません。喪失感と悲しみは癒えないままです。
現場ビル前には17日朝、真新しい花束が折り重なって置かれていた。近くで歯科医院の経営者は「花は1年間絶えず、今でも前を通ると建物を見上げてしまう。事件はずっと心に残り続けるでしょう。ご遺族を思うといたたまれない気持ちになります」とビルを見つめた。
<YAHOOニュース 2022年12月17日 10:18配信>より
年末の気ぜわしい時期に、緊急ニュースで報道されていたのをはっきり覚えています。大阪の北新地、大阪駅のほんの近く、街中のビルから真っ黒な曇りがもうもうと立ち込めているという映像が目に飛び込みました。
その後少しずつ詳細が報道によって明らかにされ、容疑者の詳細も解ってきました。スマホの連絡先には誰の電話番号も登録されておらず、預金通帳の残高はほぼ0円・・・・
自暴自棄になった末の行動により、本人を含め、大勢の大切な命が失われました。
このような事件が起きてしまった背景には、世の中からの断絶による孤独と貧困があります。よその国ではなく、この我々が住んでいる日本で起こっている状況なのです。誰もが他人ごとではないはずです。
刑法犯の認知件数は20002年をピークに20年連続右肩下がりで、285万円が、令和3年には56万件となりました。検挙率も20.8%から46.4%まで回復しました。この間に、防犯カメラが急激に普及し、路上犯罪が多い地域、場所に街頭防犯カメラの設置が進みました。件数的にはピーク時の五分の一となっていますが、犯罪の質自体が変化してきています。
令和3年11月に警察庁が実施したアンケート調査(全国の15歳以上の男女5000人を対象に、年代別・性別・都道府県別の回答者数の割合が平成27年国勢調査の結果に準じたものとなるようインターネットを通じて実施したもの。)の結果、最近の治安の状況について、
0.8%(1,041人)にとどまるのに対し、
「悪くなったと思う」又は「どちらかといえば悪くなったと思う」と回答した人の割合は64.1%(3,205人)に上りました。
「悪くなったと思う」又は「どちらかといえば悪くなったと思う」と回答した人が「思い浮かべていた」犯罪の上位4項目は、以下の通りです。
〇「無差別殺傷事件」(79.1%・2, 536人)、
〇「オレオレ詐欺などの詐欺」(69.0%・2,211人)、
〇「児童虐待」(61.1%・1, 959人)、
〇「サイバー犯罪」(57.1%・1,831人)
令和3年の犯罪情勢-警察庁より抜粋
刑法犯の認知件数が5分の一に減少したにもかかわらず、治安が悪化していると感じ他人が64%にも上ります。その原因が犯罪の質自体が凶悪化しているということに起因しています。今後は刑法犯を減らすと同様に、凶悪犯罪を起きないように予防することを意識する必要もあります。
心の病を持っている人をどれだけ受け入れ、支援できるか、ということも重要になります。思い悩んで追い込まれ、自暴自棄になることを避けられれば、悲惨な事件も減るのではないでしょうか。安全な環境は、地域のコミュニティによって作ることができます。小さなことですが、声掛けから、関係が始まるのです。
顔を合わせたときに気持ちよく挨拶を交わす。これだけで社会とのつながりができます。毎日顔を合わせていた人が2、3日顔を見なくなった、どうしたのだろう?と、思うことがつながりです。異常状態を初期段階で発見できる可能性もあります。
隣に住んでいる人がどんな人なのか見たこともない。そんなことは都会では珍しくないかもしれません。学校に通うために一時的に故郷から出てきて一人暮らしをする、または単身赴任で短期的に自分の住処から離れる、等の際には、隣近所との付き合いなども必要ないかもしれません。
今後は高齢化が進み、自治会の仕組みも昔とは変わってきました。子供が多い時代には、子供が喜ぶような地域でのお祭りや運動会などの催しがあり、それを通じで大人のコミュニティも形成されていました。今の若い人には、そんな関わり合いも煩わしいと思う向きも増えてきているようです。
地域のコミュニティが活発な地域は空き巣被害や、路上犯罪も発生しにくく、安全なところが多いです。誰もが安心して社会生活を送るためにも、そんな取り組みが重要です。