『中外日報(平成29年12月20日)文化財保護、夜も安心』
滋賀県竜王町の天台宗龍王寺は710(和銅3)年、元明天皇の勅願で行基菩薩によって創建された。雪野山の麓に伽藍を構え、当初は雪野寺と号した。境内にある梵鐘(国の重要文化財)は霊験あらたかで知られ、1007(寛弘4)年に一条天皇から「龍壽鐘殿」の勅額を賜り、寺号を龍王寺と改めたと伝わる。柿本人麻呂や和泉式部ら歌人・文人が鐘にまつわる歌を残している。
本尊・薬師如来は平安時代の造立とされ秘仏だが、毎年中秋の十五夜に行われる、ぜんそく封じの「へちま加持祈祷」に際して開扉される。へちま加持の日は霊験にあやかろうと大勢の参詣者でにぎわうという。
同寺が防犯カメラのみならず、各種侵入センサーと連動させた防犯ベルなどの警報機器を設置したのは今年9月。本堂に祀られる十二神将像(国の重要文化財)など文化財保護事業の一環として実施した。
防犯カメラで24時間の録画体制をとり、侵入センサーが異常を検知すると警報が鳴り、庫裡で映像をリアルタイムで確認できる。早期発見・早期対処の仕組みで犯罪を抑止する。
牧川栄俊住職は導入当初、朝一番に本堂入りする際、うっかり防犯システムの解除を忘れ、警報を鳴らしてしまったことがあるという。
「自分で作動させて、逆に安心感を得たという次第です。今はシステムの設定・解除が生活習慣となりました。夜間も安心して過ごせます」と笑顔で話した。
施工した滋賀県草津市のセキュリティハウスびわこ(北川善也社長)は、セキュリティハウス・センター(京都市山科区)が全国展開する防犯機器専門ネットワークに加盟。ネットワークには現在、全国の138社が参加している。
問い合わせはセキュリティハウス・センター「SHネットワーク運営本部」∥075(584)6600∥まで。
(写真)
多数の仏像が祀られる本殿内陣。牧川住職が最善を尽くしている
(ルビ)
龍壽鐘殿
りゅう・じゅ・しょう・でん
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