高齢者の行方不明者を地域で防止
認知症やその疑いがある高齢者が徘徊(はいかい)し、行方不明になるケースが増加し、社会問題となっている。高齢化が進む中、長崎県では高齢者の5人に1人が認知症患者という推計もあり、「今後、事案の件数が減ることはない」(県警)。徘徊者の早期発見に向け、認知症への理解促進や「地域の目」の重要性が高まっている。
見守りの「目」を増やそうと、街中で徘徊する認知症患者に対応する訓練が各地域で開かれている。長崎市大浦地域包括支援センターは今月上旬、地域住民らを対象に「ひとり歩き見守り模擬訓練」を実施した。
「寒かですね」「おうちはどこですか」。参加者はグループになって徘徊する高齢者役に向かって、優しく声をかけた。高齢者役は「わからん」「よかと」と繰り返し、会話がなかなか成立しない。けがをしないよう安全な場所に誘導し、110番通報。警察官の質問に答えていく形で場所や高齢者の特徴を伝えた。
訓練とはいえ、現場には緊張感が漂い、参加者から「(訓練でも)声かけは勇気がいる」「(徘徊者が)怒りっぽい人だったらできるかどうか」「声をかける側が不審に思われないか」と心配する声が相次いだ。
認知症の人が尊厳や希望を持って暮らせる共生社会の実現を目的とした認知症基本法が今年1月に施行。国や自治体が対策に取り組む責務や、国民が認知症の正しい知識を深めることなどが盛り込まれた。
今回の訓練に先立ち、同センター職員らが認知症について説明。患者に接する際は、▽驚かせない▽急がせない▽自尊心を傷つけない-の三つの「ない」を意識し、声をかけるポイントとして、後ろから声をかけないことや、相手に目線を合わせて優しい口調で話すことなどを挙げた。
警察庁のまとめによると、2022年に認知症やその疑いがあり、警察に行方不明者として届け出があったのは全国で過去最多の延べ1万8709人と、この10年で倍増。長崎県警への届け出は82人だった。
大浦地域包括支援センターの対象地域でも、▽バスに乗車後、行き先がわからなくなる▽道路の真ん中をフラフラと歩いている▽散歩に出て帰ってこない-といったケースが起きているという。
県警人身安全・少年課によると、行方不明の届け出に至らない通報までの統計はないが、県内各地で対応件数は増えている。各署員だけでは人手が足りず、本部から派遣して対応するケースもしばしば。捜索している最中に別の通報が入ってくることもあるという。
同課は「救える命を増やすため、異変を感じたら躊躇(ちゅうちょ)せず110番通報してほしい」と早期通報への協力を呼びかける。さらに、児童虐待相談件数が増加する背景の一つに、社会的関心の高まりがあることに触れ、「認知症の徘徊問題も関心が高まり、地域の“目”が増えることを期待したい」としている。
<YAHOOニュース2024年3月15日11:30配信>より
令和3年度の日本における高齢者の割合は29%と過去最高を更新し続けています。2025年にはこの割合も30%になると予想されています。
増え続ける高齢者の中でも、認知症の割合も増えています。そして認知症、もしくは認知症の疑いがある人の行方不明者も過去最多を更新し、1万8千人以上となっています。
今後もおそらくは増えていくであろうと予測されています。
このような取り組みを推進することで、認知症を患って徘徊された方の身の安全を守ることが可能となり、最悪の状況を回避することができます。とはいえ、見知らぬ人に声をかける、なんてことは、そんな簡単な事柄ではありません。訓練することによって、自然とできるようになってくると思います。
地域の中でみんながそういった意識をもつことが大切なのです。また、街頭防犯カメラも地域の目としてきっと役に立ちます。
そもそも高齢者とはおおむね65歳以上を指します。しかし、現在65歳から69歳の人の就業率は50%を超えています。自分の身の回りを見渡しても、65歳は決して高齢者ではないという感覚です。大型バイクにまたがり、音楽を楽しんだり、おしゃれを楽しんだり等、高齢者というには若すぎます。
定年の年齢も引き上げられ、働く場所も増えています。また、人口自体が減少しているので、慢性的な人手不足の問題も解消となるのではないでしょうか。